STORY
彼/彼女は理想郷を想起させる都市で生活していた。
花は咲き乱れ、大地には生命が溢れ、都市は歓びで満ちている。
そこに飢えはなく、老いもなく。
生き物は皆今日を尊び、まだ見ぬ明日を夢に見て歌う。
市国民の誰もが、この幸福が永遠であると疑わなかったことだろう。
否、それは過去ではない。
今日も、明日も、そのまた次の日だって。
理想郷はそこにあるはずだ。
彼/彼女は不確かな平穏を想いながら眠りにつく。
次に目を覚ましたときに彼/彼女が目にするものはきっと、普段と何ら変わらぬ日常であることだろう。
STORY
彼/彼女が目を覚ますと、世界は終末を迎えていた。
草木は枯れ、大地に嘗ての活気はなく、都市は錆びて崩れていく。
そこに生き物の姿はなく、文明の影も感じられず。
世界はあまりにも唐突に、簡単に壊れた。
市国民の誰もが、この幸福が永遠であると疑わなかったことだろう。
全て、今は遠き昔の話だ。
家族も、友人も、大切な人は皆。自分一人置いて消え去ってしまった。
彼/彼女はそら事の安寧に身を委ねて眠りにつく。
次に目を覚ましたときに彼/彼女が目にするものはきっと、普段と何ら変わらぬ日常であることだろう。